キャンプの楽しみを通じて、災害時の備えを考えることは大切なことです。
アウトドアスキルを活用して、命を守るための知識を身につけましょう。
今回ご紹介するのは、アウトドアスキルをもつキャンプ場経営者の視点から、地震や水害などの災害に対応するための具体的な対策です。
アウトドアの世界には、生存技術や危機管理に役立つスキルがたくさんあります。
万が一の状況に備え、自身と家族の安全を確保するために、アウトドアの魅力と防災の重要性を結びつけ、共感と理解を深めましょう。
災害に備えることは、私たちの大切な人々と共に未来を守る一環です。
有野実苑(ありのみえん)オートキャンプ場は千葉県山武市にある緑豊かな森と農園に囲まれたキャンプ場。 関東近郊で都心から90分というアクセスのいい立地にありながら、きれいな空気と新鮮な産物に恵まれ、四季折々のキャンプを気軽にお楽しみいただけます。 木々に囲まれて区画されたサイトと、充実した設備、各種クラフト体験や収穫体験など様々なイベントをご用意し、 スタッフ一同、皆さまのお越しをお待ちしております。
有野実苑オートキャンプ場公式サイトはこちら:https://arinomi.co.jp/
※本記事はキャンプのプロ!有野実苑オートキャンプ場のスタッフをはじめ、有野実苑を愛してくださるキャンパーのみなさま・全国のキャンパーのみなさまのお声、口コミを参考に制作しています。
アウトドア・キャンプの知識が災害時に役立つ
アウトドア活動は、災害時の避難生活を予行演習する絶好の機会です。
また、キャンプ用品は災害発生時にも非常に役立ちます。実際、過去におきた地震の際に、テントやランタン、寝袋が被災者の支援物資として活用された例がありました。
家庭で最低限のキャンプ用品を備えておくことにより、電気やガスが止まった状況下でも、避難所に行かずとも駐車場や庭先で一時的に避難することが可能です。
アウトドアでの経験は、災害時の「何とかできる」という自信を育みます。特に子供たちはキャンプでの夜に慣れておくことで、避難所での夜を怖がらずに過ごす力を得ることができます。
アウトドアは自然の中での体験を通じて、普段の生活やレジャー、災害時の対応をつなぐツールとして非常に重要です。
キャンプ用品は単なる趣味のアイテムを超えて、災害時の重要な防災グッズとして機能します。ライフラインが途絶えた状況を想定し、どの道具が最も有効かを考え、実践的な知識として身につけることができるでしょう。
災害は予測不可能であるため、私たちは常に適切な準備と知識を持つことが重要です。
アウトドアは災害への準備として、また心のサポートとして重要な役割を果たしているといえます。
今回は、アウトドアスキルをもつ有野実苑オートキャンプ場のスタッフの視点から、地震や水害などの災害に対応するための具体的な対策を紹介していきます。
災害時に起こりうる状況と対策
災害時には予期せぬ状況が発生し、日常生活に大きな影響を与えることがあります。
ここでは、特に断水、停電、通信障害という3つの主要な災害時の状況と、それぞれに対する効果的な対策を紹介します。
【①:断水】
災害直後に水道水がまだ利用可能なうちに、可能な限り多くの水を汲み置きしておきましょう。
断水が発生した場合、飲料水や生活用水の確保が最優先課題となります。
2Lペットボトルや大容量のウォータータンクを用いて、飲料水を事前に備蓄しておきます。特にペットボトルは、使い勝手が良く、携帯にも便利です。
災害用トイレの準備をしておくことで、トイレの水が流せない状況でも衛生的な環境を保つことができます。
また、地震などの緊急時には、配管が破損している可能性があるため、トイレに水を流す前に自治体からの指示を待つことが重要です。
以前はよく行われていた「お風呂に水を溜める」行為は、現在では推奨されていないよ!配管が破損していると、汚水が溢れてしまうことも。マンションの場合は特に注意だね。国土交通省は、災害時の断水時には、トイレに水を流さないよう呼びかけているよ。
【②:停電】
停電発生時には、安全対策として、電気製品のプラグを抜き、火災リスクを最小限に抑えます。
太陽光発電や蓄電システムがあれば、自立運転への切り替えを考慮し、避難時にはブレーカーを落とすことが重要です。
スマートフォンの電池を節約し、緊急時の通信手段を確保するため、低電力モードへの切り替えや不要なアプリの終了などを行っておきましょう。
また、トイレは、停電が発生すると、水の給水システムが停止し、トイレが使用不能になることがあります。停電中でも水道が止まっていない場合は通常通り使用可能ですが、簡易トイレの用意も考慮すべきです。
また、マンション住まいの方はエレベーターが停止するため、非常階段や非常口の位置を事前に確認しておくことが重要です。
【③:通信障害】
災害時には、携帯電話の回線が混雑したり、通信設備に障害が発生したりして、通常の通信手段が使えなくなることがあります。
災害時の通信障害は、情報の入手や安否確認を困難にします。
そのため、非常時の通信手段として、無料の公衆無線LANサービス「00000JAPAN」やWi-Fi経由の通話アプリ(LINEなど)の利用が非常に有効です。
「00000JAPAN」(ファイブゼロジャパン)は、大規模災害発生時に、日本国内の主要携帯キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)が連携して提供する緊急時専用の無料公衆無線LANサービス。
災害時における情報の伝達や安否確認を容易にするために設けられており、通信網が混雑する中でもインターネット接続を可能にします。
利用には特別なアプリケーションや事前の登録は不要で、Wi-Fi設定画面で「00000JAPAN」を選択するだけで使用できます。
災害発生時にキャリアの垣根を越えて誰でも利用できるようになっていますので覚えておきましょう。
参照:通信障害の発生時における公衆無線LAN「00000JAPAN」の無料開放|NTTドコモ
災害(地震)が起きたらどうする?
まず、災害時に即座に行動を起こすための重要なポイントをまとめました。
地震などの災害が発生した際に実行すべき具体的な行動について解説します。
何をすべきなのか、確認しておきましょう。
【一次避難:身の安全を最優先に】
災害発生時、まずは自分の身の安全を確保することが最優先です。
以下の順番で身の安全を守ってください。
- 安全な場所への移動
- ブレーカーを落とす
- 火の消化(料理している場合)
- 避難路の確保
- 指定緊急避難場所への避難
落ち着いて行動しましょう。
■安全な場所への移動
地震発生時は、頭を保護し、大きな家具から離れることが重要です。
丈夫な机の下など、安全な場所に逃げ込んでください。
窓ガラスが割れてしまった場合は、近寄らないようにしましょう。
足の裏を怪我をすると歩けなくなってしまうよ。
とても怖くなりパニックになる人がほとんどですが、まずは落ち着いて安全な場所に移動しましょう。
■ブレーカーを落とす
通電火災を防ぐためにも、地震がおさまってからすぐにブレーカーを落としましょう。
感震ブレーカーという、地震の揺れを感知した時に自動で電気を止めるブレーカーを事前に導入しておくことも、日頃準備できる対策の一つです。
■火の消火
もし、火を使用している時に地震がきた場合は、揺れがおさまってから火を消しましょう。
ただし、火傷や怪我をする場合があります。無理はせず、火を消すよりも身を守ることが最優先です。
現在は、都市ガスやプロパンガスなど、震度5程度で安全装置が作動して自動的にガスの供給が止まるよう設定されているよ。
■避難路の確保
地震が起きたら、玄関までのドアをあけましょう。
地震で建物が変形し、扉が開かなくなることがあるため、扉を開けて避難路を確保します。
【二次避難:避難生活】
災害後の避難生活では、初期の安全確保から一歩進んで、長期的な生活維持への対策が必要です。
ここでは、災害後の避難生活について掘り下げていきます。
■指定避難所に避難
二次避難時に活用する指定避難所は、長期滞在を目的として設定されています。
これらの施設(学校、体育館、公民館など)は食料やその他の必需品が備蓄されており、一定期間の生活が可能です。
移動時は、土砂崩れや危険なブロック塀を避けるなど、避難時の安全確保には十分注意が必要です。
災害が起きる前に、自宅や職場の近くにどのような避難所があるかを事前に調査し、地域特有のリスクを理解しておくことが重要です。
ハザードマップなどを活用して、地域ごとの災害リスクを把握しましょう。
避難所では必要物資の配布や情報収集が容易ですが、プライベート空間は限られます。
一方で、在宅避難やテント生活では、プライバシーが確保できるものの、物資の入手が難しくなる可能性があることを頭に入れておきましょう。
・避難所と避難場所の区別
一次避難用の「指定緊急避難場所」は短期間の避難を前提としています。
「指定緊急避難場所」とは異なり、二次避難の「指定避難所」は長期滞在を前提として設計されています。
事前に自宅から指定避難所と指定避難場所までの避難ルートを確認し、可能な限り防災グッズを持参しましょう。
■在宅避難
在宅避難は、自宅の安全性が確認できた場合に選択される避難方法です。
特に都市部では避難所の収容能力に限りがあります。そして慣れない場所での避難所生活では体調を崩す原因にもなり得るため、在宅避難は有効な選択です。
自宅での避難はプライバシーを保ちつつ、健康リスクを軽減する利点があります。
そのため、住宅の耐震化やライフラインの代替品の備え、最低3日から1週間分の水と食料の備蓄が推奨されます。
災害発生前にこれらの準備を整えることで、在宅避難をより安全かつ快適に行うことが可能になります。
【アウトドア経験を活かした避難生活】
アウトドア経験を活かした避難生活は、災害時に自助努力として大きな役割を果たします。
キャンプで身につけたスキルや用具の活用は、避難所での滞在や自宅近くでの一時的な避難において、生活の質を向上させることができます。
■テント・シュラフ(寝袋)・マットの活用
避難生活での快適な睡眠と体温維持には、寝袋とマットが欠かせません。
特に冬季の避難生活では、地面からの冷気を防ぐためにもこれらのアイテムが重要となります。
キャンプで使っているテントやシュラフ(寝袋)、マットを災害時に使うと、避難所での生活がぐんと楽になります。自分だけのコンパクトな空間を作ることで、少しでも安心できるんです。
特にテントは避難所でのプライバシーの確保や、屋外での一時的な避難生活において役立ちます。
また、避難所が満員である場合や、特定のニーズがある場合(ペットの同伴など)、テントを使用した避難生活が選択肢になり得ます。
アウトドア経験があれば、テント生活の準備や適応がスムーズに行えるでしょう。
■調理器具の使用
キャンプで使うガスコンロや焚き火台が、災害時に起きる電気やガスが利用できない状況下でも温かい食事を作ることができます。
キャンプ用の調理器具は軽量でコンパクトなため、移動や使用が容易で、非常時の食事準備に役立つでしょう。普段から火起こしやキャンプ飯を作ることに慣れていると慌てずに火を扱うことができますね。
締め切った空間で火を使うのは一酸化炭素中毒の危険性があるので注意しましょう。
必ず換気できる・または外のひらけた場所で行うことが大切です。
■ポータブル電源の活用
ポータブル電源は、スマートフォンの充電や小型の電子機器の電力として役立ちます。
スマホが充電できれば、情報収集や通信の維持が可能です。
本体を太陽光を利用して充電できるソーラーパネル付きのポータブル電源があると、使い切りではなく繰り返し使えるためより安心できます。
■自力で生活する力と精神力
キャンプ経験があると自然の中で「何とかできる」という自信と心構えができていることが多いです。
災害時には、アウトドアで学んできた経験が心理的な安定にもなり、特に子供たちが避難所での夜を怖がらずに過ごす力になります。
避難生活は非日常のため、見えない不安からストレスがたまり落ち着きもなくなってくるでしょう。
そんな時にキャンプでの経験は、災害時の不安を和らげるのにも一役買ってくれます。
「大丈夫、うまくやれる」という心強さを持つことができるんです。
日頃からキャンプに慣れて、自分の力で「なんとかできる!」という自信を持つことは、災害時に落ち着いた行動ができるため、役立つことでしょう。
■アウトドアグッズ:避難時の備え
アウトドア活動で使用するアイテムは、災害時の備えとしても機能します。
災害時にも使える災害時を想定したキャンプギアを選ぶことは、キャンプの楽しみ方を広げると同時に、万が一の備えにもなります。
災害時における適切な準備と知識を持つことは、私たち全員に求められる重要なスキルといえるでしょう。
キャンプを通じて、日常生活や災害時の対応に役立つスキルを身につけるのは、とても良い選択だといえるでしょう。
緊急時の必需品リスト:避難や避難生活に必要なアイテム
緊急時の必需品をリストにしました。
- 持ち歩き用防災グッズリスト
- 非常用持ち出しグッズリスト
- 在宅・近隣非難時に!備蓄品リスト
- 災害時に役立つキャンプ用具リスト
常備薬や貴重品など個別に必要なものは人それぞれです。
リストから足したりひいたりして万が一の時の備えとなるよう、これらのリストを参考に緊急時の防災グッズを準備しましょう。
【コンパクトに!持ち歩き用防災グッズリスト】
いつでも持ち歩ける防災グッズは、身の安全を守るために欠かせません。
貴重品、携帯電話、充電器(モバイルバッテリー)、予備の電池、非常用の水と食料、ポケットティッシュや除菌シート、粉塵や煙を防ぐためのマスク、小さなファーストエイドキットを含めるとよいでしょう。
日常、薬を飲んでいる人は常備薬も入れておくことを忘れずに。
コンタクトをしている人は、災害時に使用できなくなる場合があるためメガネも入れておくと安心です。
普段のカバンの中を見直してみると、足りないものが見つかるでしょう。
【リュックサックに!非常用持ち出しグッズリスト】
災害時に備えるために、普段から持ち出し用の防災グッズを用意しておきましょう。
リュックサックの大きさは、30L〜40L以上のリュックサックがおすすめです。
あまり大きすぎると避難時に転倒したり、持ち出せないことも。そうならないためにも、自分の体格にあった大きさを選ぶことも一つのポイントです。
家を離れて避難する際に必要な非常用持ち出しグッズには、以下があげられます。
■持ち出しリスト
■女性の方・小さなお子さんがいる方・高齢者の方・ペットがいる方
緊急時に迅速に避難するため、また、避難生活を少しでも快適に過ごすために重要なアイテムです。
これにプラスして、ご自身の生活で欠かせないものがあれば、足していきましょう。
【在宅・近隣非難時に!備蓄品リスト】
自宅や近隣での避難が必要になった場合に備え、水、食料品、医薬品、衛生用品、電池、携帯電話の充電器などを備蓄することが重要です。
以下に備蓄用リストを用意しましたので、参考にしてください。
一般的には、少なくとも3日分の備蓄が推奨されますが、大規模災害時には電気や水道の復旧に7日程度かかることがあります。
特に高層マンションなどでは、電気システムの水没により復旧までの時間が長引くケースもあり、7日分の備蓄を心がけることが望ましいとされています。
また、食事の準備には、ガスコンロやカセットコンロなどの簡易調理器具が役立ちます。
災害時に備えて、これらの備蓄品をしっかりと用意しておくことで、自宅や近隣での避難生活を少しでも安心して過ごすことができます。
【災害時に役立つキャンプ用品リスト】
災害時には、キャンプ用品が非常に役立ちます。
テント、寝袋、マット、アウトドアワゴン、ポータブルガスストーブ、ランタン、調理器具、食器、カトラリーなどは、避難所での生活や自宅での電気・ガスが使えない状況でも快適に過ごすために重宝するでしょう。
キャンプアイテムは、屋外での生活に必要な基本的なものをカバーしており、災害発生時に備えておくと安心です。
まとめ:キャンプは災害に備えるための心構え
災害は突然起こります。
そのため、あらゆる状況に備えて、いつでも自分の身を守る準備をしておくことが重要です。
防災用品や食料の収納に適したバッグを準備し、定期的に装備品の点検・見直しを行うことが必要です。
また、避難所での生活にはキャンプでのアウトドアの経験が生かされる場面です。
キャンプスキルを活用して、災害時における自己と家族の安全を確保しましょう。
石川県能登地方での地震被害を受け、被災された方々への哀悼の意を表し、救済活動に尽力されている方々に深い敬意を表します。
アウトドアの経験や知識が、少しでも多くの方の役に立つことを心から祈っております。
有野実苑オートキャンプ場スタッフ一同。