【キャンプ場スタッフ監修】燻製料理と聞くと一気に料理のハードルがあがる気がしますが、実は材料を用意すれば初心者でも簡単にできるって知っていましたか?
燻製器(スモーカー)がなくてもダンボールやフライパンでできるため、自宅でもアウトドアでも手軽に燻製を楽しむことができます。今回は燻製のやり方と作り方の基本とコツをあわせて紹介していきます。
こんにちは!有野実苑オートキャンプ場の妖精、コッフェルくんだよ!
キャンプのことはなんでも聞いてね!
燻製って難しそう……初心者でも失敗しないやり方やコツを教えてください!
まかせて♪燻製は一見難しそうだけど、実はやり方や作り方のコツを知っていれば誰でも挑戦できる調理法。今回は年間40泊以上のガチキャンパー沖野隆さんに燻製のやり方と作り方を解説してもらうよ!ぜひ燻製をする際の参考にしてね
有野実苑(ありのみえん)オートキャンプ場は千葉県山武市にある緑豊かな森と農園に囲まれたキャンプ場。 関東近郊で都心から90分というアクセスのいい立地にありながら、きれいな空気と新鮮な産物に恵まれ、四季折々のキャンプを気軽にお楽しみいただけます。 木々に囲まれて区画されたサイトと、充実した設備、各種クラフト体験や収穫体験など様々なイベントをご用意し、 スタッフ一同、皆さまのお越しをお待ちしております。
有野実苑オートキャンプ場公式サイトはこちら:https://arinomi.co.jp/
※本記事はキャンプのプロ!有野実苑オートキャンプ場のスタッフをはじめ、有野実苑を愛してくださるキャンパーのみなさま・全国のキャンパーのみなさまのお声、口コミを参考に制作しています。
燻製って何?という人にわかりやすい燻製のいろは
燻製とは、塩漬けした肉や魚を煙によって燻(いぶ)すことで、長期保存を可能にした保存食です。
燻製は、食材を燻すことで食材の水分を減らし保存性が高まります。燻製にする食材の多くは下処理で塩漬けにするため、塩による脱水効果も保存性が高まる理由のひとつです。
また、燻す際の煙には殺菌・防腐効果があり、肉や魚を腐敗させる原因となる菌を減らす効果もあります。
ただ、近年では冷凍技術が発達し保存食というよりも、燻製独特の風味や香りを楽しむ食品として親しまれることが多いです。
【基本的な製法は3つ】
燻製には3つの製法があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
①熱燻(ねっくん)法
80°C〜140°Cの高温で、10分〜1時間ほど燻す製法です。食材にしっかり火が通り、水分が失われずジューシーに仕上がるのが特徴。短時間で完成するため、キャンプに適した製法といえます。
ただ、水分がしっかり抜けないため、保存食にはむきません。おすすめの食材は、ステーキ肉や魚介類、ゆで卵やチーズなどです。
②温燻(おんくん)法
60°C〜80°Cの中温で、数時間燻す製法です。最もポピュラーな作り方で、市販されている燻製もほとんどが温燻法で作られています。
燻製特有の風味や香りが楽しめ、やわらかな仕上がりが特徴です。水分が半分程度抜けるので、数日間の保存は可能。ハムやベーコンなど、定番の食材がおすすめです。少々時間がかかりますが、温度調整もしやすくキャンプに最も適した製法といえます。
③冷燻(れいくん)法
15°C〜30°Cの低温で、数日〜数週間かけじっくり燻す製法です。
水分がしっかり抜けるため、長期保存が可能になります。外気温との兼ね合いもあり温度調整が難しいため、上級者向けです。スモーキーな仕上がりになるため、生ハムやスモークサーモン作りに適しています。
意外と少ない!燻製に必要な道具
燻製作りには多くの道具が必要だと思いがちですが、そんなことはありません。
これから紹介するものだけで、燻製づくりはばっちりです。意外と準備物が少なくてびっくりしますよ。
【燻製器】
メインとなるのは燻製器。さまざまな種類があるので、どれにしようか迷ってしまいます。
まずは、用途に合った形状や素材を選ぶのがポイントです。
アウトドアでは、軽量で持ち運びやすい箱型の燻製器がおすすめです。また、段ボールでできた手軽に使用できる燻製器もあるので、とりあえず燻製を試してみたい方にはいいかもしれませんね。
■ソト(SOTO) お手軽香房 ST-124
■ソト(SOTO) 燻家 スモークハウス
【スモークウッド・スモークチップ】
燻す際に煙を出すために必要なのが、燻煙材となるスモークウッドかスモークチップ。
スモークウッドは、木材を粉状にしたものを固めた固形燃料のようなものです。直接火をつけるだけで熱源を必要とせず、一定の煙が出続けるので手間がかかりません。ただ、温度調整ができないため、温度を上げたいときはスモークウッドの数を増やすなど工夫が必要です。
スモークチップは、木を細くチップ状にした燻煙材です。スモークチップはスモークウッドのように直接火をつけて使うことができません。金属製の器にのせ、下からコンロなどの熱源を使い炙る必要があります。熱源の火力で温度調整ができるため、熱燻法などの高温での調理が可能です。
また、燻煙材にピートスモークパウダーをかければ、燻製がより深みのある味わいに。ピートスモークパウダーを使えば、あっという間に本格的な燻製になりますよ。
ピートとは、植物が地中で堆積し炭化したもので、ウイスキーの香り付けに使われています。
■ソト(SOTO) スモークウッド
■進誠産業 スモーク・チップ サクラ
■ソト(SOTO) いぶし処 ピートスモークパウダー
【温度計】
仕上がりにこだわりたい方は、温度計も必須です。
製法により燻製の仕上がりが大きく異なるため、まめに温度チェックはしたいところ。
特にスモークチップを使用した場合は、温度が変化しやすいため温度計があると便利です。
■BUNDOK(バンドック) スモーカー 用 温度計
初心者でも失敗しない!基本的な燻製のやり方を手順別に解説!
必要な道具が揃えば、あとは燻製を作っていくだけ!
ここでは、基本的な燻製の作り方を紹介していきます。
【下処理:食材にあわせた処理を施して燻製しやすくする】
まずは、生肉や生魚の場合は食材の下処理を行います。下処理は、下ごしらえ・塩漬け・塩抜き・乾燥の4つの工程があります。
卵やナッツなどの食材は必要ないですよ!基本下ごしらえは水分の多い食材に必要です。
①下ごしらえ
肉は余分な脂やスジを、魚は内蔵や血合いなどをきれいに取り除きます。これを行うことで、食べやすくなるだけでなく、腐敗が起こりにくくなります。
②塩漬け
次に、食材を塩漬けし、下味をつけ余分な水分を取り除きます。ソミュール液(スパイスを使った食塩水)に漬け込む方法もありますが、塩を食材に直接すり込む方が簡単でおすすめです。
③塩抜き
次に、塩抜きをし、食材から出た余分な成分や塩分を洗い流します。塩抜き時間は食材ににより異なりますが、ちょっと塩抜きしたすぎぐらいがベストです。
④乾燥
水分が多く残る食材は、最後に乾燥させましょう。表面の水分をキッチンペーパーなどで拭き取り、風通しのよい日陰で乾燥させます。ラップをしないで冷蔵庫に保管でもOK。
表面が乾燥していれば完成です。
肉や魚を使えば本格的な燻製を楽しめますが、下処理に手間がかかります。そのため、キャンプのときは家で下処理を済ませてしまうのがポイント。
また生で食べられない生肉や生魚などは燻製前に加熱しておきましょう!燻製してから火を通すと風味が損なわれてしまいますよ。
ベーコンやハム、チーズなど下処理の必要がない食材もたくさんあります。
まずは簡単な食材から、燻製を始めるのがいいかもしれませんね。
【燻製の準備:ウッドやチップを受け皿にのせ、食材を燻製器にセット】
食材の準備ができたら、次は燻製の準備をします。
器にウッドチップを入れ、燻製器にセット。食材を網にのせれば準備完了です。
【燻製:内部に煙が充満したのを確認ししばらく放置】
準備ができたら、燻製を始めていきましょう。
まず、燻製器を火にかけ燻製器に蓋をします。
このとき、ウッドチップが燃え上がらないように注意が必要。
はじめての場合は火力を調整しやすい、カセットコンロがおすすめです。
しばらくすると、内部に煙が充満してきます。この状態になれば食材が燻されているので、しばらく放置して待ちましょう。
燻している間は、中の温度をこまめにチェックしましょう。キャンプでは熱燻(ねっくん)がほとんど!80度以上をキープしよう!
【取り出し:食材に煙が移りしっかりと色づいていたらOK】
最後に、蓋を開け食材を確認!食材がしっかりと色づいていれば、燻されています。
あとは、お皿に盛りつけて完成です。
【実践】初心者におすすめ!段ボールの燻製器で燻製してみた
初めての方や気軽に燻製を楽しみたい方におすすめの、段ボールの燻製器。燻製に必要なものがすべて揃った、オールインワンの燻製器です。
今回は「SOTO 燻家 スモークハウス」を実際にキャンプで使用したので、レビューします。
なかなかの優れものでしたよ。
【手順1 段ボールの燻製器を組み立てる】
まずは、段ボールの燻製器を組み立てます。
本体裏に組み立て方が書いてありますので、参考にしながらやれば簡単です。
【手順2 専用の棒を刺す】
次に、付属している専用の棒を刺します。
燻製器側面に丸印があるのでそこから刺し、反対側まで貫通させます。
高さが3段階あり、下が網用、上2つが吊り下げフック用です。ベーコンなどの長めの食材を吊るせるのもうれしいですね。
【手順3 網をセットし食材を並べる】
本体上部を開け、さきほどセットした棒に網をのせ食材を並べます。
このとき、網を使わず付属のフックを使えば、食材を吊るすことも可能。食材に合わせて、使用しましょう。
完了したら、本体上部を閉めます。
【手順4 スモークウッドをアルミ皿にのせ火をつける】
次に、スモークウッドをアルミ皿にのせ、火をつけます。スモークウッドはなかなか火がつかないため、バーナーで一気に炙るのがおすすめ。
アルミ皿も熱くなるので気をつけてください。
【手順5 スモークウッドを本体にセットする】
スモークウッドに火がついたら、本体にセットします。本体下部が開くため、そこからスモークウッドをのせたアルミ皿を入れます。
また、今回はより深みのあるスモーキーな味わいに仕上げたかったので、ピートスモークパウダーを使いました。
スモークウッドにかけるだけで燻製がより本格的に。あまりかけすぎるとなかなか煙が出てこないので、ほどほどにしましょう。
【手順6 煙が出てきたら待つだけ】
しばらくしたら煙が出てきます。中が燻されているのがよく分かります。途中で中の様子を確認したくなりますが、じっと我慢です。
付属のスモークウッドひとつで、90分ほど燻されました。
【手順7 盛り付けて完成!】
今回は、スモークウッドが燃え尽きるまで燻してみました。
時間を調整することで、お好みの仕上がりになると思います。今回は、下処理の必要がない簡単な食材を使用。さっと作れて簡単でした。
ピートスモークの香りが強く、お酒がすすみます。
【手順8 片付ける】
片付けは、折りたたんでまとめるだけでとっても簡単。スモークウッドを購入すれば、あと数回は使えそうです。持ち帰りの際は袋に入れ密閉すれば、車の中が煙臭くなりません。
キャンプに燻製器を持っていくと、しばらく車の中が煙臭くなるんですよね。燻製大好きですが、そこが欠点!
【「SOTO 燻家 スモークハウス」の注意点】
段ボール製でとても軽量なため、風には注意が必要です。
ちょっとの風でも倒れる恐れがあるため、風のある日は風防を使うなどの対策をしましょう。
また、水にも弱いため雨対策も必要です。濡れると再利用できなくなるため、雨の日はタープ下などで使用するなど、雨をしのげるとよいですね。
即席!自宅で燻製器がつくれる?
家で急に燻製が食べたくなった。そんなときは、即席で自宅にあるもので燻製器を作っちゃいましょう。
例えば、フライパンやボールを燻製器として代用することができます。サイズに合った網と蓋のせ、スモークチップをアルミホイルにのせてコンロで炙れば、即席燻製器の完成です。
また、段ボール箱でもスモークウッドを使い、網と金属製の器があれば燻製器をつくれます。
あとは、食材を用意するだけ。簡単なので、ぜひ試してくだい。
まとめ:自宅でもキャンプでも燻製料理を思い切り楽しもう!
今回は燻製の作り方を紹介しました。手間がかかりそうだし匂いも気になる燻製ですが、やってみると意外と簡単です。アウトドアで作れば、匂いも気になりません。
お酒との相性も抜群な燻製は、キャンプにぴったり。燻製は色んな食材を楽しめるので、メニューを考えるだけでも楽しいですよ。
まずは、段ボールの燻製器や即席燻製器で試してみるのもありです。燻製料理、ぜひ挑戦してみてください。