【キャンプ場スタッフ監修】シーズニングとは、鋳鉄製や鉄板性のスキレットやダッチオーブンを買ったらまずはじめにやる油をなじませる必要なお手入れのこと。スキレットやダッチオーブンを長持ちさせ、料理を美味しくするために必要なプロセスです。
この記事では、初心者でも安心して実践できるシーズニングの基本手順とコツを、写真付きで詳しく解説します。ずっと大事にしたいからこそ、失敗しないシーズニングの方法を学び、大切なクッカーを育てましょう。
シーズニングのやり方を、写真付きで細かく解説しているのでぜひ参考にしてくださいね。
こんにちは!有野実苑オートキャンプ場の妖精コッフェルくんだよ!
キャンプのことはなんでも聞いてね!
キャンプ飯のレベルをあげたいのでスキレットやダッチオーブンを買ったんですが、「シーズニング」が必要と聞きました。私にもできますか?よく分からなくて……。
シーズニングのやり方だね!まかせて!!今日はキャンプのプロが鉄製品のお手入れ方法「シーズニング」を徹底解説しちゃうよ♪
有野実苑(ありのみえん)オートキャンプ場は千葉県山武市にある緑豊かな森と農園に囲まれたキャンプ場。 関東近郊で都心から90分というアクセスのいい立地にありながら、きれいな空気と新鮮な産物に恵まれ、四季折々のキャンプを気軽にお楽しみいただけます。 木々に囲まれて区画されたサイトと、充実した設備、各種クラフト体験や収穫体験など様々なイベントをご用意し、 スタッフ一同、皆さまのお越しをお待ちしております。
有野実苑オートキャンプ場公式サイトはこちら:https://arinomi.co.jp/
※本記事はキャンプのプロ!有野実苑オートキャンプ場のスタッフをはじめ、有野実苑を愛してくださるキャンパーのみなさまのお声、口コミを参考に制作しています。
シーズニングとは
シーズニングとは、鋳鉄製や鉄板製のクッカー(スキレットやダッチオーブンなど)に油をなじませて油膜を作り、加熱することで保護膜を作る方法のことです。
鍋の表面に焼き付けた油の保護膜が形成されることで、サビを防ぎ、調理中の食材のこびりつきを減らします。
また、購入したばかりの鋳鉄製クッカーにはサビを防ぐためのワックスや油が添付されていることがほとんどです。鋳鉄製のクッカーを新しく購入したときは、表面の薬品や油を洗い流し、新たに食用の油でコーティングしてサビ付を防止することが必要になります。
スキレットやダッチオーブンを購入した際に、取扱説明書などにも必ずシーズニングを行うよう書かれているので確認してみましょう。
自分でシーズニングをしていくことで、鉄製クッカーにも愛着がわいてくるよ!このひと手間がストレスフリーで美味しいキャンプ飯をつくるコツ♪
【シーズニングには2つの意味がある】
実は「シーズニング(seasoning)」には2つの意味があります。
ひとつは英語で「スパイス(調味料)」の意味。
もうひとつは「乾燥」の意味があり、スキレットやダッチオーブンなど鋳物製の油ならしのお手入れ方法を「シーズ二ング」ともいいます。
今回は、後者の油ならしのシーズニングを徹底解説していきますね。
シーズニングはなぜ必要なの?主な目的は3つ
シーズニングの主な目的は3つあります。
①:表面についているサビ止めのワックスや油を取り除く
②:サビや焦げ付き防止
③:風味の向上と鉄臭さの軽減
【①:表面についているサビ止めのワックスや油を取り除く】
シーズニングを行う最初の目的は、表面についているサビ止めのワックス(薬品)や油を取り除くことです。そのまま使用するとワックスや油が染み出し食材についてしまうので、購入後はしっかりシーズニングを行い、これらの物質を取り除くことが重要です
【②:サビや焦げ付き防止】
もう2つ目の目的は、サビ防止と焦げ付き防止です。
鉄製のクッカーは水分を飛ばして乾燥させても、シーズニングをしなければサビが発生しやすくなります。シーズニングにより、油の膜が鍋の表面に形成され、酸素を遮断してサビを防ぐのです。
また、この油の膜は調理中の食材の焦げ付きを防ぎ、調理をスムーズにしてくれます。
シーズニングを知らずにそのまま料理してしまって、「食材が真っ黒!」なんて話もよく聞くよ!
【③:風味の向上と鉄臭さの軽減】
シーズニングされた鍋は、料理の風味を高める効果があります。
シーズニングによって形成されたポリマー層が食材の風味を閉じ込め、調理過程で風味を逃がさないためです。また、シーズニングを行うことで鉄特有の臭いも軽減されます。これにより、鉄臭さが料理に移ることなく、使用できます。
シーズニングの方法・やり方を解説
なんだか難しいそうに思いますが、シーズニングは意外と簡単。
あまり神経質にならずとも成功します!くり返しの作業もありますので、この記事を読んでしっかりおさらいしておきましょう。
今回シーズニングに使ったのはLODGE (ロッジ) ロジッスキレット6 1/2インチです。
ちなみにロッジのスキレットは、はじめにシーズニングが施してあるので、初回は洗って油をぬる程度で問題はありません。
とはいえ、やはり焦げつく感じはあるので最初にシーズニングをすることをおすすめします。
【シーズニングに必要なもの】
ではさっそく「シーズニング」を始めていきましょう!
用意するものは下記の5つです。
・食器用洗剤
・塩分の含まれていない食用油(乾性油がベスト)
・野菜くず(香味野菜がベスト)
・鍋つかみやスキレットカバー
・キッチンペーパー
使用する油は「ひ膜」ができやすい亜麻仁油やえごま油などの乾性油が向いていると言われていたけど、普通の油でも問題ないと調理器具メーカーの人に教えてもらったよ!
【手順1:スキレットを洗剤でよく洗う】
まずは洗剤で初期についていたワックスや油を洗い流すために、スキレットの表面をブラシやスポンジで全体をすべてきれいに洗っていきます。
洗剤は使ってはダメ!と言われたりするけどそんなことはないよ!
ここではしっかりワックスや油を落とそう。
【手順2:水分が十分に蒸発するまで火にかける(空焚き)】
しっかり洗ったら次は水分を蒸発させるために空焚きをしていきます。
弱火にかけて、しっかりと水分を飛ばしましょう。弱火~中火で火にかけます。持ち手や裏側などの水分も蒸発し、煙が出てきたら火を止めます。
ここからは火を使い持ち手も熱くなってくるよ!鍋つかみやスキレットカバーをはめて火傷に十分気をつけてね!!
完全に覚めるのを待ってから、焼ききったひ膜を洗剤で洗い流します。
そして再度火にかけ乾燥させてください。
【手順3:食用油を塗る(表面・裏側・持ち手など全て)】
キッチンペーパーで薄く油を塗り広めます。
持ち手や裏側なども忘れずにしっかり塗り込んでください!
【手順4:もう一度火にかけて空焚きをする】
再度空焚きをします。
煙がでてくるので、換気は忘れずに!!
【手順5:煙が出て油分が消えたら火を止めて、自然に冷ます】
煙が出るまで中火くらいで熱し続け、煙が出てきたら弱火にしてくださいね。
煙が出なくなるまで焚き続け、煙が出なくなったら火を止めて少し冷まします。
しっかり冷まさなくても大丈夫だよ!あと数回油を塗るので大やけどしないためにも冷ましたほうが作業しやすいよ!
【手順6:油を塗る→空焚きを2〜3回くり返す】
さらに、「油を塗る→空焚き」の工程を2回~3回繰返し行って油の膜をどんどん張っていってください。
ただ、油膜は次の手順「野菜ぐずを炒める」の工程で作られるため、煙が出なくなり全体的に色味が均一になれば繰り返す必要はありません。
自分好みのテカリがでるまで4回でも5回でも好きにやって大丈夫だよ!何度もいうけど火傷には注意してね!!
【手順7:野菜くずを炒める】
野菜くずを炒めます。焦げ付く一歩手前で炒めるのを止め野菜を捨てます。
野菜くずを炒めることで、油分と野菜くずに含まれる水分が反応し、油分を変性することで油の層が出来上がるとのことです。
また、鋳鉄製の独特の鉄のにおいを軽減してくれる効果があるとも言われています。
効果については、調理器具メーカーさんに教えていただきました!
【手順8:最後に食用油を全体に塗り自然に冷めれば完了】
最後にもう一度油を全体に塗って完全に冷めるとシーズニング完了です。
新聞紙があれば、次回使用するまで包んでおくといいでしょう。
いろいろと手順が多い気がするかもしれませんが、しっかりとシーズニングを行うことで長く愛用できるクッカーになるので、必ずやっておきましょう。
シーズニングの注意点
シーズニングをするときに注意しておきたいことはどのようなことでしょうか。
・油を塗るときはキッチンペーパーなどを使い薄くむらなく塗る(乾性油がベスト)
・取っ手や裏側、側面に油を塗るのを忘れずに行う
・割れたり破損の原因になるので熱いうちに水をかけることは厳禁
・ステンレス製やアルミ製のダッチオーブンは基本シーズニングは不要
以上のことに注意しましょう。
シーズニングQ&A
シーズニングをする上で多く寄せられる疑問点におこたえしましょう。
Q:シーズニングの頻度は?
スキレットやダッチオーブンなど鉄製のクッカーを購入したら、必ずシーズニングを行ってから使い始めると良いでしょう。
また、シーズニングは初回だけでなく、使うたびに行うことが大切です。そうすることで少しずつ使い勝手の良い状態へ育ち、「ブラックポット」と呼ばれるつやつやとした黒光り状態になります。さらに使いやすくなりますよ。
つやつやした鉄製のクッカーは、焦げ付きにくく食材もくっつかないよ!後片付けも楽ちんに♪
【はじめからシーズニングされた製品もある】
商品の中には出荷の段階で、すでにシーズニングを施している商品もあります。そういった場合は軽く水洗いをし、火にかけ水分を飛ばせばすぐに使えますよ。
取扱説明書をよく読んでご自分の購入したスキレットやダッチオーブン、フライパンはどうなのか確認しましょう。
Q:スキレットやダッチオーブン使用後や普段のお手入れは必要?
スキレットやダッチオーブンは使った後は水やお湯を使ってスポンジやたわしで洗い、火にかけます。水気を飛ばしたら油を薄く塗り、新聞紙などに包んで保管しましょう。
汚れを取るには竹製の「ささら」がおすすめです。手が汚れにくく、熱いお湯が手にかかることもないのですぐに洗えて便利です。
サビが取れたら、火にかけて水分を飛ばし、野菜くずを炒め、油を薄く塗って保管します。
次に使う時にもしサビていたら、塩とジャガイモでサビ部分を何度もこすってみよう!ピカッとなるよ
じつは金属たわしやクレンザーを使っても大丈夫なんですよ。
Q:久しぶりに使おうと思ったら油臭いのですが洗剤で洗ってもいいですか?
洗剤で洗っても構いません。
しっかりと油の匂いを落としたら一からシーズニングを行いましょう。
また、普段の使用後に油汚れや焦げ付きなどを落としたい場合も洗剤を使って洗っても大丈夫です。その後シーズニングをしっかり行っておきましょう。
できるだけ油膜は残したいけど油臭いのは嫌という人は、お湯を沸かすといいですよ。
塗った油が酸化しちゃったのかな……酸化した油って変なにおいがするんだよね。人によっては酸化した油はお腹を壊しちゃうこともあるのでしっかり取っておこう!
Q:シーズニングにクズ野菜は必須なんですか?
くず野菜を炒める理由は、鉄の表面に油をまんべんなく染み込ませ、鉄のにおいをとるためです。野菜の皮や端切れで構わないので、くず野菜を炒めておけば安心ですね。
ちなみに野菜の種類はニンジンや玉ねぎの皮やキャベツの外側の葉など、比較的なんでも大丈夫です。
特に気にならなければクズ野菜を炒める手順は飛ばしてOKだよ!!
Q:スキレットの錆(サビ)を取る方法はありますか?
スキレットやダッチオーブンは、うっかり濡れたまま放置すると、サビてしまうことがあります。
サビてしまった時の対処方法をご紹介します。
まず、カナダワシ(金属製のたわし)と重曹を使ってサビをこすり落とします。その後、残った炭を強火で炭にしましょう。再度カナダワシでこすって洗います。
綺麗になったらシーズニングをして完了です。
どうしても落ちない場合は、サビをサンドペーパーで磨こう!
まとめ:シーズニングをして大事なクッカーを育てていこう!
スキレットやダッチオーブンなど鉄製のクッカーのお手入れ「シーズニング」の方法についてご紹介しました。
少し手間がかかりますが、それもキャンプまでの楽しみや醍醐味のひとつ。
難しいことは一つもありませんが、長く愛用するためには初回だけではなく、洗剤を使って洗ったりサビ落としをするたびにシーズニングを行うことが大切です。
ぜひ自分のクッカーを育てて美味しいキャンプ飯を作ってみませんか。