【キャンプ場スタッフ監修】キャンプで炭を使った料理を楽しむときに知っておきたい「熾火(おきび)」の存在。熾火は、料理の際だけでなく、焚き火や薪ストーブを楽しむときにも、その効果を存分に発揮します。
熾火にしてしまえば頻繁な火の調節の心配や、煙臭くなったり中身に火が通っていないのに焦げてしまうなどの心配もなくなります。
今回はキャンプ歴10年以上のベテランキャンパーAtsuさんが、上手な熾火の作り方や注意点を紹介していきます。
熾火を知っていると、アウトドアでの過ごし方がぐっと快適になりますよ。
こんにちは!有野実苑オートキャンプ場の妖精、コッフェルくんだよ!
キャンプのことはなんでも聞いてね!
キャンプでの焚き火調理やBBQでたまに聞く熾火ってなんですか?熾火を作った方がいい理由も知りたいです
まかせて!熾火は薪を燃やした延長線上で作ることができる、一見火は消えているけど炭の中心部が高熱で芯が赤く燃えている状態のことだよ!今回はキャンプ歴10年以上のベテランキャンパーAtsuさんに、熾火の作り方から注意点まで詳しく解説してもらうよ!
熾火ってご存じですか?熾火を使った料理では直接の火ではなく、熱で調理できるため均一に火を通すことができておすすめ♪
熾火を使いこなすとキャンプ飯の達人になれる。そんな熾火のメリットや注意点をご紹介します!
有野実苑(ありのみえん)オートキャンプ場は千葉県山武市にある緑豊かな森と農園に囲まれたキャンプ場。 関東近郊で都心から90分というアクセスのいい立地にありながら、きれいな空気と新鮮な産物に恵まれ、四季折々のキャンプを気軽にお楽しみいただけます。 木々に囲まれて区画されたサイトと、充実した設備、各種クラフト体験や収穫体験など様々なイベントをご用意し、 スタッフ一同、皆さまのお越しをお待ちしております。
有野実苑オートキャンプ場公式サイトはこちら:https://arinomi.co.jp/
※本記事はキャンプのプロ!有野実苑オートキャンプ場のスタッフをはじめ、有野実苑を愛してくださるキャンパーのみなさま・全国のキャンパーのみなさまのお声、口コミを参考に制作しています。
熾火(おきび)とは?
まずはじめに、読み方からご紹介。熾火の読み方は「おきび」と読みます。
一発で読める人は少ないですよね!
熾火(おきび)とは、薪が燃え尽きた後に残る赤く熱い炭や灰の状態を指します。着火した薪や炭が炎をあげずに静かに燃えているので、一見火が消えているように見えますが芯の部分が赤くなっており、熱をしっかりと放っています。この状態は火力が安定しており、炎が出ていないため、調理や暖をとるのに非常に適しています。
わかりやすく例えると、バーベキューや焚き火をする時、はじめは炎が上がっていて強くなったり弱くなったりして不安定ですよね。
ですが終盤にさしかかってくると、炎が上がらずに芯の部分が赤くなってゆっくり落ち着いて燃えている状態になっているのを見たことはないですか?
それが熾火です。
熾火をうまく利用することで、料理の火加減を細かく調整できるだけでなく、燃料を効率的に使うことができます。例えば、焚き火料理でじっくりと食材に火を通したり、パンやピザを焼いたりする際に、熾火の持続する熱は非常に役立ちます。また、薪ストーブでは、熾火の状態であれば煙の発生が少なく、よりクリーンな燃焼が可能です。
【燃え上がる炎での調理と熾火での調理どちらがいい?】
燃え上がる炎で調理するのと、熾火で調理するのとではどちらがよいのでしょうか。
火を起こしていざお肉を焼いてみると、燃え上がる炎でお肉が焦げてしまい慌てて食べようとするけれど中まで火が通っていない……
煙がもくもくと上がり、食材や服に煙の臭いが移ってしまった……!
バーベキューや焚き火調理をした時、このような経験はありませんか?
このような問題は、熾火を使って調理すれば解決できます!
炎が燃え上がっていないため火力が安定し、遠赤外線効果でじっくりと食材に火を通すことができるんです。熾火と網の距離が近くなると強火、遠くなると弱火のように調節も可能なので周りだけ焦げてしまうという失敗も起こりません。
結果的に、燃え上がる火で調理するより熾火での調理の方が簡単に美味しく出来上がります。
上手な熾火の作り方とコツを紹介
熾火作り方は非常に簡単。
基本は、薪や炭に火を付けて炎が落ち着いてくるまでただ待っているだけです。
とはいえ、手順やコツなどを覚えておくことで熾火を作るときの助けになるでしょう。
熾火を作る手順は簡単に説明すると、
1.薪や炭を組む
2.着火剤や燃えやすいものを用いて火をつける
3.炎が燃え上がった後、収まるのを待つ
4.薪や炭の芯が真っ赤になっていれば熾火の完成!
5.熾火が弱くなってきたら、必要に応じて薪や炭を新たに追加する
コツとしては着火してから炎が上がりだしたら、薪や炭を動かしたり追加したりするのは極力避けて放置することです。
そのためには薪や炭を最初にしっかりと組んでおき、動かしたりしなくて良いようにしておく必要があります。
【薪から作るか炭から作るかで変わってくる】
熾火の作り方は、薪から作るのか炭から作るのかでも変わってきます。
炭は、全体的にしっかり着火するとあまり炎は上がらずそのまま熾火状態になります。
一方、薪はいったん燃え上がってその後炎が落ち着き炭化して熾火状態に変わるので、炭の方が熾火になるのが早いと言えますね。
また、炭や薪の種類によっても大きく差が出てきます。焚き火に使われる薪は、大きく分けて「針葉樹」と「広葉樹」の2種類です。
それぞれの特徴を知って、好きな方を選択しましょう。
■薪・炭の種類によって燃焼時間も違う
「針葉樹」にはマツ・ヒノキ・スギなどがあり、密度が低く樹液が多いため着火しやすいですが燃焼時間は短いという特徴があります。
対して「広葉樹」にはナラ・サクラ・クヌギ等があり、燃焼時間は長いけれど着火しにくいという特徴があります。
次に炭の種類です。
比較的安価で手に入る「黒炭」や「マングローブ炭」は着火しやすいですが燃焼時間が短い傾向にあります。
備長炭などで知られる「白炭」は着火しにくいけれど一度着火すると燃焼時間は長くなり、じっくり調理したい時におすすめです。
白炭は高価で、料亭などでも使用されています。
長くもつ炭といえば「オガ炭」がおすすめですよ!
【熾火の持続時間をできるだけ長くするには?】
熾火は、炎が燃え上がっている状態よりも燃焼に必要な酸素の量が少ないのが特徴です。
そのため、燃えるスピードが押さえられ火が安定した状態で長持ちします。
このように長く楽しめる熾火ですが、送り込まれる酸素の量が多すぎると燃焼が強くなり灰になってしまうのが速くなります。
そこで、風が強すぎるようであれば風よけ(風防・リフレクター)などを設置し、なるべく長く熾火を楽しみましょう。
また、使用する薪や炭によっても燃焼時間が大きく変わってきます。先に説明したように、薪であれば広葉樹の方が燃焼時間が長くなり、炭であれば白炭の方が長持ちします。
しかし燃焼時間だけで選ぶと着火に苦労することになるため、まずは針葉樹で着火し、その後広葉樹を混ぜるなどして使うと良いでしょう。
炭の場合も同じです。
それぞれの特徴を生かして使用することで、より快適に熾火を楽しむことができますね。
熾火を作る時や使う時の注意点と処理方法
熾火を作ることに関しては特に注意点はありません。ただひたすら触らずに待つだけ。
しかし「熾火を使う時」には少し注意が必要です。
まず熾火は、見た感じ火がついているようには見えない時があります。
天気の良い日中などは特に見誤りがちです。
そのため火がついていないと思い、誤って炭やグリルに触ってしまわないように気をつけましょう。
小さな子供のいるファミリーキャンプでは特に注意しよう!
また、火が完全に消えているかどうか分かりにくいことも注意すべきポイント。
完全に消えていると思ってそのまま放置して就寝したが、夜中に風が強くなったら再び火が熾りだすということも稀ではありません。
安全に消火するためにも火消し壺や火消し袋があれば安心です。火消知し壺があれば安全に消火することができる上に、炭の再利用も可能。
一石二鳥なので、ぜひキャンプの時は準備しましょう。
熾火はこんな料理を作る時におすすめ!
熾火は火加減が安定しているので、遠赤外線効果でじっくり火を通していく料理におすすめです。
【焼き芋】
アルミホイルにくるんだサツマイモを熾火の中に直接投入します。
ゆっくりじっくり芯まで火が通り、甘くてしっとりした焼き芋が完成します。
【ダッチオーブンの料理】
ダッチオーブンで作る料理も、じっくりと火を通して調理するものが多いのでおすすめです。
ピザを作る場合も、熾火をダッチオーブンの蓋に乗せることで両面がしっかり美味しく焼きあがります。
【焼きマシュマロ】
バーベキューでのデザートの定番、焼きマシュマロ。
これは炎の出ている状態ではあっという間に真っ黒こげになってしまい、食べられたものではありません。
熾火にそっとマシュマロをジリジリと近づけることで、周りはこんがり中はトロトロの絶品焼きマシュマロができあがりますよ。
熾火で調理をするのに向いてるのは「網の高さ調節可能なグリル」
熾火で調理する時の火加減は、熾火との距離で調節します。
強火にしたい場合は食材や鍋を熾火に近づけ、弱火にしたい場合は熾火から少し距離をとります。
そのため、網の高さを調節できるグリルが熾火料理に非常に向いているといえるでしょう。
また、吊り下げて使えるトライポッドも火加減調整するのにおすすめです。
【コールマン(Coleman) クールスパイダープロ LX 引き出し式ロストル】
焼き網の高さを4段階に調節可能。
左右バラバラで高さが調節できるので強火と弱火両方が同時に使えます。
また、引き出し式のロストルで炭の追加に網を持ち上げる必要もありません。
鉄板も付属されているので幅広い料理に挑戦できます。
・サイズ:約80×60×40/70(h)cm
・重量:約6.8㎏
・材質:スチール、ステンレススチール
・付属品:鉄板、焼網、収納ケース
まとめ:遠赤外線効果でキャンプ飯をさらに美味しくいただこう!
バーベキューで火を起こし、炎が上がったら焼きはじめ、焦げてしまうので慌てて食べる。
そして炭がいい感じに熾火になってくる頃にはなんだかお腹がいっぱい……。
そんなちょっぴり残念なキャンプ飯は卒業しませんか?
「火を起こしてからすぐに調理にとりかからず、少し待てば熾火になる。」
それを分かっているだけで、ワンランク上のキャンプ飯が作れるはず!
熾火の遠赤外線でじっくりと火を通した美味しいキャンプ飯は、あなたのお腹も心も存分に満たしてくれるでしょう。